建設業における特定技能の受け入れ要件・流れを詳しく解説
慢性的な人手不足に悩む建設業界において、新たな労働力の確保は喫緊の課題です。特に「2024年問題」による残業規制の適用や、職人の高齢化が進む中、即戦力として期待されているのが在留資格「特定技能」です。
本記事では、建設業の経営者・採用担当者様に向けて、特定技能制度の仕組みから、他業種よりも厳しいとされる独自の受け入れ要件、具体的な採用フローまでを網羅的に解説します。制度を正しく理解し、戦略的な人材確保にお役立てください。
建設業における「特定技能」制度とは?
建設分野における特定技能制度は、国内の人材確保が困難な状況に対し、一定の専門性・技能を有した即戦力の外国人を受け入れるために創設されました。まずは、制度の背景と基本的な特徴について解説します。
人手不足と「2024年問題」の切り札としての外国人材
建設業界では現在、就業者の高齢化と若手入職者の減少が深刻化しています。さらに、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)により、一人当たりの労働時間を削減しつつ、施工能力を維持・向上させることが求められています。
こうした状況下で、現場の生産性を落とさずに事業を継続させるための「切り札」として、特定技能外国人の活用が急速に拡大しています。
技能実習制度との違い
従来の「技能実習制度」と「特定技能」の決定的な違いは、その目的です。技能実習が「国際貢献・技術移転」を目的とした研修生的な立ち位置であるのに対し、特定技能は明確に「労働力の確保」を目的としています。
そのため、特定技能外国人は、相当程度の知識または経験を必要とする技能試験と日本語試験に合格しているか、技能実習2号を良好に修了していることが要件となります。つまり、入社直後から現場の戦力として稼働できる「即戦力性」が保証されているのです。
特定技能1号と2号の違い
特定技能1号:
在留期間は通算5年まで。家族の帯同は認められていません。
特定技能2号:
熟練した技能を持つと認められた者が取得できます。在留期間の更新回数に制限がなく(事実上の永住への道が開ける)、配偶者や子の帯同も可能です。
建設業は、特定技能制度開始当初から2号への道が開かれていた数少ない分野であり、外国人材にとってもキャリアアップの目標を描きやすい業界といえます。
建設業で受け入れ可能な「3つの業務区分」と職種
以前、建設分野の特定技能は19の業務区分に細分化されていましたが、2022年より「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つの区分に大括り化されました。
複数の工種をまたぐ作業(多能工化)が柔軟に行えるようになり、現場での利便性が大幅に向上しています。
①土木区分
土木工事の現場で必要となる幅広い職種が含まれます。 具体的には、型枠施工、コンクリート圧送、トンネル推進、建設機械施工、土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工などが該当します。インフラ整備や造成工事など、大規模な現場での活躍が期待されます。
②建築区分
建築物の新築、増築、改築、リフォームなどの現場で従事する職種です。 具体的には、建築大工、左官、内装仕上げ、とび、建築板金、表装、サッシ施工などが含まれます。住宅からビル建設まで、多様な建築現場に対応可能です。
③ライフライン・設備区分
建物やインフラの設備に関連する職種です。 具体的には、電気通信、配管、建築板金、保温保冷などが含まれます。人々の生活基盤を支える重要なインフラ工事を担います。
どこまでOK?「関連業務」の許容範囲
3つの区分に統合されたメリットに加え、特定技能では「関連業務」の実施も認められています。 本来の業務に付随するものであれば、資材の運搬、片付け、清掃、あるいは当該業務区分の他職種の作業などを、日本人従業員と同様に行うことが可能です。
ただし、あくまで「付随的」な業務であり、関連業務だけに専従させることは認められないため注意が必要です。
建設業における外国人材の受け入れに関するメリットとデメリット
外国人材の受け入れは大きなチャンスですが、同時にリスクやコストも伴います。経営判断として知っておくべきメリットとデメリットを整理します。
メリット:即戦力の確保と生産性向上
最大のメリットは、採用直後から一定のパフォーマンスが期待できる点です。 技能実習3年を修了したレベル、あるいは技能試験に合格したレベルの技能と、基本的な日本語能力(N4レベル以上相当)を持っています。
ゼロから教育する必要がある未経験者の採用に比べ、教育コストと時間を大幅に削減でき、現場の生産性向上に直結します。
デメリット:採用コストと転職(転籍)リスク
一方、デメリットとして挙げられるのはコストと定着のリスクです。 日本人や技能実習生の採用に比べ、紹介料や支援委託費などの初期費用・ランニングコストが高くなる傾向があります。
また、特定技能は技能実習と異なり、同職種であれば他社への「転職」が認められています。「せっかく採用したのに、より条件の良い会社へ移ってしまった」という事態を防ぐため、給与水準の見直しや働きやすい環境づくり(リテンション対策)が重要になります。
建設分野特有の「4大受入れ要件」
建設分野は、過去の技能実習制度における失踪問題などを背景に、他業種よりも厳しい独自の「上乗せ規制」が設けられています。これらを満たさなければ、特定技能外国人を採用することはできません。
建設業許可の取得
受入れ企業(特定技能所属機関)は、建設業法に基づく「建設業許可」を受けている必要があります。これは、法令遵守体制が整った適正な事業者であることを証明するための必須条件です。
許可を受けていない軽微な工事のみを行う事業者は、特定技能外国人を受け入れることができません。
建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録義務
建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が、事業者と外国人本人(技能者)の双方に義務付けられています。
外国人の就業履歴や資格をデータ化し、適正な処遇やキャリアパスの構築を担保します。特定技能ビザの申請時に登録証の写しが必要となるため、事前の手続きが不可欠です。
建設技能人材機構(JAC)への加入
一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入も必須要件です。JACは、建設分野の特定技能制度の適正な運用や教育訓練を行う機関であり、受入れ企業はJACに対して「受入負担金」を納付する義務があります。
JAC会費を抑える「間接加入」とは?
JACへの加入には、「正会員として直接加入する」方法と、「JACの正会員である建設業者団体の会員として加入する(間接加入)」方法があります。
直接加入の場合、年会費(24万円〜)が高額になるケースがありますが、既に所属している工業団体や組合がJACの会員であれば、その団体の会費だけで済み、追加のJAC年会費がかからない(または安くなる)ケースがあります。自社が所属する団体がJAC会員かどうかを確認することをお勧めします。
日本人と同等額以上の報酬
不当な安値労働を防ぐため、同じ業務に従事する日本人と同等額以上の報酬を支払う必要があります。 さらに重要なのが、支払い方法が「月給制」に限定されている点です。
天候や工事の進捗による収入減を防ぎ、生活を安定させるため、日給月給制は認められていません。これらは昇給の有無や手当も含め、賃金台帳などで厳格にチェックされます。
採用から入社までの流れと手続き
建設業で特定技能を受け入れる場合、入国管理局への申請の前に、国土交通省(地方整備局等)での手続きが必要になります。
採用ルートの選定
まず、人材をどこから採用するかを決定します。
国内採用:
日本に在留している留学生(試験合格者)や、技能実習修了者を採用するパターン。面接がしやすくスムーズです。
海外採用:
現地の試験合格者や実習経験者を呼び寄せるパターン。人材の母数は多いですが、渡航手続きに時間を要します。
自社の実習生からの切り替え:
自社で働いている技能実習生を、特定技能に移行させるパターン。最も確実性が高いルートです。
「建設特定技能受入計画」の認定申請
建設分野最大の特徴がこのプロセスです。出入国在留管理局へビザ申請を行う前に、国土交通省に対して「建設特定技能受入計画」を提出し、認定を受ける必要があります。
ここでは、前述の「4大要件」を満たしているかが厳しく審査されます。審査期間は標準で1.5〜2ヶ月程度かかり、修正対応などを含めるとさらに長引くこともあるため、余裕を持ったスケジュール管理が必要です。
在留資格申請と入社後の義務的支援
国交省の認定証が発行されたら、それを持って出入国在留管理局へ在留資格(ビザ)の申請を行います。 また、特定技能1号外国人に対しては、生活オリエンテーションや公的手続きの同行などの「支援」が義務付けられています。これらは自社で行うことも可能ですが、要件が複雑なため、「登録支援機関」へ外部委託(月額費用が発生)するのが一般的です。
新制度「育成就労」と特定技能2号への道
外国人材の受け入れ制度は現在、大きな転換期を迎えています。将来を見据えた採用戦略が必要です。
技能実習制度の廃止と「育成就労」への移行
政府は現行の技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度(仮称)」を創設する方針を固めています。新制度では、原則3年の就労期間を経て、特定技能への移行を標準的なルートとして位置付けています。
人材育成(育成就労)」から「定着・活躍(特定技能)」というキャリアパスが一本化され、建設業界においても長期的な人材確保がしやすくなる見通しです。
CCUS活用とキャリアパスの明確化
今後は「採用して終わり」ではなく、いかに定着してもらうかが勝負となります。 CCUSを活用し、技能レベルに応じてカードの色が変わる(白→青→銀→金)仕組みと連動した昇給制度を設けることや、職長クラスである特定技能2号へのステップアップを支援することが、外国人のモチベーションを高め、自社への定着率向上につながります。
建設業の「施工管理」「外国人」採用なら株式会社アップデート
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株式会社アップデートは、建設業・運送業・製造業に特化し、「施工管理職の人材紹介」および「特定技能(外国人)の人材紹介」の2つの紹介事業を自社で展開しています。
多くの人材紹介会社がある中で、アップデートが選ばれているには理由があります。
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2. 特定技能(外国人)にも強い
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3. SNS運用で「採用広報」も同時に支援
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「人材紹介」×「SNS広報」のハイブリッド支援 「急募の現場監督は人材紹介で確保しつつ、将来の若手採用のためにSNSも育てたい」。そんなご要望にワンストップで対応できるのが株式会社アップデートです。
施工管理・特定技能の採用をお考えの経営者様・採用担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。採用のプロフェッショナルが、貴社の事業成長を加速させる採用戦略をご提案します。
この記事の監修者|堂下 直輝
1994年、兵庫県生まれ。大学卒業後、株式会社マイナビに入社し、支社立ち上げから課長職までを経験。累計500社以上の採用支援に携わる。
2020年、株式会社アップデートを設立し、代表取締役に就任。「仕組みを変え、世界中の課題を解決し続ける」をミッションに掲げ、建設業・運送業・製造業を中心に採用支援事業を展開。
ショート動画やSNSを活用した採用支援を強みに、200を超えるアカウントの運用を支援。採用支援に関する講演活動も積極的に行い、実務と発信の両面から企業の採用課題解決に取り組んでいる。
現在はメガバンクなど金融機関とも提携し、大阪・東京・福岡を拠点に、全国の企業を支援している。

