建設業の採用成功事例|人手不足を解消する共通点と具体的施策を解説
建設業界における人手不足は、年々深刻さを増しています。「求人を出しても応募が来ない」「若手がすぐに辞めてしまう」「職人の高齢化で事業承継が危ぶまれている」といった悩みを抱える経営者や採用担当者の方は多いのではないでしょうか。
特に、工事を請け負う施工会社や専門工事会社においては、大手ゼネコンや知名度のあるハウスメーカーとの人材獲得競争に加え、独自の魅力付けが難しいという課題も存在します。
しかし、そのような厳しい環境下でも、工夫次第で採用を成功させ、若手や経験者を確保している企業は確実に存在します。本記事では、建設業の採用難の背景を整理した上で、採用に成功している企業の共通点や具体的な事例、そして今日から取り組める実践的なステップを解説します。
なぜ建設業の採用は難しいのか?
建設業の採用が困難である背景には、業界特有の構造的な問題と、近年の法改正による影響が複雑に絡み合っています。まずは、なぜこれほどまでに採用が難しいのか、その要因を正しく理解することから始めましょう。
有効求人倍率の高止まりと少子高齢化の実態
建設業の有効求人倍率は全産業の中でもトップクラスに高く、慢性的な「売り手市場」が続いています。加えて、業界を支えてきたベテラン職人の高齢化が進み、大量の退職者が発生する一方で、新たに入職する若年層の数が圧倒的に不足しています。
長年定着してしまった「きつい・汚い・危険」といういわゆる3Kのイメージも払拭しきれておらず、他の産業に人材が流出している現状があります。単に「求人を出せば人が来る」時代は完全に終わりを告げ、選ばれるための努力なしには人材確保が不可能な状況にあるのです。
働き方改革関連法(2024年問題)が採用に与える影響
2024年4月から建設業にも適用された「時間外労働の上限規制」も、採用難に拍車をかけています。これまで長時間労働や休日出勤でカバーしていた業務量を、限られた時間内でこなす必要が出てきたため、各社とも「より多くの人員」を確保しなければ現場が回らなくなっています。
労働環境の改善は求職者にとってはプラスの要素ですが、企業側にとっては「労働時間の短縮」と「人員の増加」を同時に達成しなければならないという、極めて高いハードルとなっています。
建設業の採用を成功させる共通点
採用難易度が高い中でも、安定して人材を確保している建設会社には明確な共通点があります。
「会社のリアル」を伝えるSNS・動画活用
求職者、特に若年層は、給与条件以上に「職場の雰囲気」や「一緒に働く人」を重視します。成功している企業は、TikTokやInstagram、YouTubeなどを活用し、飾らない日常を発信しています。
ここで重要なのは、「現場での職人同士の掛け合い」「休憩中の和やかな様子」「技術の凄さが伝わる作業風景」といった、自社ならではのコンテンツを発信することです。
入社後のミスマッチを防ぎ、「この先輩たちと働きたい」という動機形成に繋げています。
既存社員を巻き込む「リファラル採用」の仕組み化
リファラル採用とは、社員から知人や友人を紹介してもらう手法です。信頼関係のある社員からの紹介であるため、定着率が高く、採用コストも抑えられるメリットがあります。
成功企業では、「紹介してくれたら金一封」といった単発の施策ではなく、社員が「自分の会社を友人に勧めたい」と思えるようなエンゲージメント向上に努めています。また、紹介カードを作成したり、食事代を補助したりと、社員が声をかけやすい仕組みを整えています。
建設DXによる「スマートな働き方」のアピール
「建設業=アナログで非効率」というイメージを覆すことも有効です。施工管理アプリの導入による事務作業の削減、ドローンやICT建機の活用、ウェアラブル端末による安全管理など、最新技術を取り入れている姿勢は強力なアピール材料になります。
「ウチの会社は新しいことに挑戦している」「無駄な残業を減らすために投資している」という姿勢は、特にデジタルネイティブな若手世代に好意的に受け入れられます。
「週休2日・給与改善」など労働環境の抜本的見直し
下請け構造にある企業にとって、工期の関係上「完全週休2日制」の導入は容易ではありません。しかし、採用成功企業は「4週8休」への移行や、給与体系の明確化(日給月給制から月給制への移行など)に本気で取り組んでいます。
他産業並みの待遇に近づけることは、採用の土俵に上がるための最低条件になりつつあります。求職者は条件面をシビアに見て比較していることを認識し、少しずつでも改善を進める姿勢が重要です。
ターゲットの拡張
「経験のある日本人男性」だけにターゲットを絞っていては、母集団は集まりません。成功企業はターゲットの幅を柔軟に広げています。
・女性活用: トイレや更衣室の整備、力仕事の機械化。
・外国人材: 特定技能制度の活用や、生活サポート体制の構築。
・異業種からの転職: サービス業出身者など、対人スキルを持つ人材を施工管理として育成。
このように、「自社で活躍できる人材」の定義を広げることで、採用のチャンスを創出しています。
建設業が採用力を高めるための3ステップ
「何から始めればいいかわからない」という方のために、採用力を高めるための手順を3つのステップにまとめました。
Step 1: 自社の「強み」と「ターゲット」の再定義
まずは自社の魅力を棚卸しします。「ウチには何もない」と思わず、視点を変えてみてください。
・技術力: 特定の工法に特化している、有資格者が多い。
・安定性: 大手ゼネコンとの取引が長く、仕事が途切れない。
・社風: 社長との距離が近い、BBQや社員旅行が盛り上がる。
その上で、「誰に来てほしいか」を明確にします。「体力に自信がある体育会系」なのか「細かい作業が得意なコツコツ型」なのか、ターゲット像に合わせてアピールする強みを選定しましょう。
Step 2: 求人票・採用サイトのスマホ対応とコンテンツ刷新
ターゲットとする層のほとんどは、スマートフォンで仕事を探します。自社のホームページがスマホ対応していない、あるいは求人情報が何年も前のままである場合は、早急にリニューアルが必要です。
求人票には、「給与」や「勤務時間」だけでなく、「1日の仕事の流れ」や「先輩社員の声」、「入社後の研修内容」などを具体的に記載しましょう。写真はフリー素材ではなく、実際の社員や現場の写真を使い、リアリティを持たせることが信頼獲得の鍵です。
Step 3: 選考スピードの短縮と面接体験の向上
建設業の求職者は、「すぐに働きたい」と考えているケースが少なくありません。応募から面接設定、合否連絡までのスピードが遅いと、他社に取られてしまいます。可能な限り即日〜翌日にはレスポンスを行いましょう。
また、面接は「企業が選ぶ場」であると同時に「求職者に選ばれる場」でもあります。威圧的な態度は避け、自社の良い点も課題点も誠実に話すことで、志望度を高めることができます。
建設業の採用成功事例
厳しい採用環境の中でも、SNSを戦略的に活用することで劇的な成果を上げている企業が増えています。ここでは、株式会社アップデートが支援した具体的な成功事例をご紹介します。
【型枠大工】社員の「キャラ」を武器に、1年半で複数名の採用に成功
大阪で型枠大工を営む藤岡工務店様は、求人広告を中心とした従来の採用活動に限界を感じていました。
取り組み | TikTokの運用を開始。現場で働く社員一人ひとりの「濃いキャラクター」を包み隠さず発信することで、視聴者の親近感を醸成しました。 |
成果 | TikTokの運用を開始。現場で働く社員一人ひとりの「濃いキャラクター」を包み隠さず発信することで、視聴者の親近感を醸成しました。 |
ポイント | 最近では、関東で活動していた20代の経験者がSNSを通じて同社を知り、入社を決意。「どこで働くか」以上に「誰と働くか」を重視する若年層の心をつかんだ事例です。 |
TikTokアカウント |
【ダクト工事】開始わずか3ヶ月で即戦力2名を確保
大阪でダクトの製造・施工を行う湯浅板金工作所様は、事業承継を見据え、若手不在の状況を打破するためにSNS運用をスタートしました。
取り組み | 事業承継のタイミングで、現場の活気と職人技術を可視化。 |
成果 | 運用開始からわずか3ヶ月で若手経験者2名の採用に成功。フォロワー数も同期間で1,000人を突破しました。 |
ポイント | 「高齢化が進んでいる」というイメージを逆手に取り、若手が活躍できる土壌があることをスピーディーに証明しました。 |
TikTokアカウント |
【設備施工管理】運用1年で100件超の応募、女性施工管理も採用
設立5年ほどの若い会社であるAir Partners様は、認知度の向上と経験者の確保を目的にSNSへ注力しました。
取り組み | 施工管理の仕事内容や会社の雰囲気をオープンに発信。 |
成果 | 約1年の運用で総応募数は約100件、6名の採用(主に若手経験者)を実現。 |
ポイント | 男性中心と思われがちな業界において、女性の施工管理職の採用にも成功。幅広い層にアプローチできるSNSの拡散力を証明しました。現在は「経験者のみ」に絞った効率的な募集を行っています。 |
TikTokアカウント |
【重量鳶】熊本から東大阪へ!移住を伴う応募も獲得
東大阪で重機の据付・運搬を行う藤原重機様は、採用難と業界イメージの払拭という課題を抱えていました。
取り組み | TikTokとInstagramを併用し、重量鳶という仕事のダイナミズムとプロ意識を発信。 |
成果 | 7ヶ月で6名の採用に成功。SNSのフォロワー数は合計1万人(TikTok 6,000人以上、Instagram 約5,000人)を超え、業界内での圧倒的な認知を確立しました。 |
ポイント | 20代前半の女性がSNSを見て入社を希望し、熊本から単身引っ越してくるなど、地域を越えたマッチングを実現しています。 |
TikTokアカウント | |
Instagramアカウント |
建設・施工管理の人材確保にお悩みなら「株式会社アップデート」へご相談ください
株式会社アップデートは、建設業界に特化し、「人材紹介」と「SNS運用代行」の2つの事業で人手不足を解決します。 人材紹介事業では、特にニーズの高い「施工管理」や「特定技能(外国人)」の即戦力マッチングに強みを持っています。
また、SNS運用事業では、ショート動画等を駆使したマーケティングで貴社の認知度を高め、国内外の若年層を直接集客する採用広報も支援可能です。
貴社の課題に合わせた最適なプランをご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者|堂下 直輝
1994年、兵庫県生まれ。大学卒業後、株式会社マイナビに入社し、支社立ち上げから課長職までを経験。累計500社以上の採用支援に携わる。
2020年、株式会社アップデートを設立し、代表取締役に就任。「仕組みを変え、世界中の課題を解決し続ける」をミッションに掲げ、建設業・運送業・製造業を中心に採用支援事業を展開。
ショート動画やSNSを活用した採用支援を強みに、200を超えるアカウントの運用を支援。採用支援に関する講演活動も積極的に行い、実務と発信の両面から企業の採用課題解決に取り組んでいる。
現在はメガバンクなど金融機関とも提携し、大阪・東京・福岡を拠点に、全国の企業を支援している。

