建設業の外国人採用のポイント|メリットから採用フロー、注意点まで詳しく
日本の建設業界は、深刻な人手不足と就業者の高齢化という二重の課題に直面しています。この状況を打破し、事業を継続・発展させていくため、外国人材の採用は今や最も重要な経営戦略の一つと言えます。
しかし、「外国人採用はメリットがあるのか?」「手続きが複雑そう…」「法律的なリスクはないか?」といった不安や疑問をお持ちの経営者・人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、建設業における外国人採用のメリットから、採用可能な在留資格の違い、建設業特有の採用フロー、そして採用後に失敗しないための注意点まで、網羅的に詳しく解説します。
建設業における外国人採用のメリット
外国人材の採用は、単なる「人手不足の穴埋め」にとどまらず、企業に多様なプラスの効果をもたらします。即戦力の確保から組織の活性化まで、具体的なメリットを見ていきましょう。
深刻な「人手不足」と「高齢化」の解消
最大のメリットは、喫緊の課題である人手不足と高齢化の解消です。特に、特定技能などで来日する若く意欲的な外国人材は、現場の労働力不足を直接的に補い、技術・技能の担い手となります。
ベテラン層が定年を迎えていく中で、彼らが次世代の建設現場を支える貴重な戦力となることは間違いありません。
ニーズに応じた「即戦力」人材の確保
「外国人=未経験者」というイメージは過去のものです。特に在留資格「特定技能」は、一定の技能と日本語能力の試験に合格した人材、あるいは技能実習2号を修了した経験者であるため、即戦力としての活躍が期待できます。
多様性による組織の活性化と技術の継承
異なる文化や価値観を持つ外国人材が加わることで、従来の日本人従業員にも良い刺激が生まれ、組織全体の活性化(ダイバーシティ)につながります。また、彼らは日本の高い建設技術を学ぼうという意欲に溢れています。
日本人ベテラン職人が持つ高度な技術やノウハウを、意欲ある外国人材に継承していくことは、企業の貴重な財産を守り、未来へつなぐことにも直結します。
建設業で採用可能な「在留資格」の違いについて
外国人採用を検討する上で、最初の関門となるのが「在留資格(ビザ)」の理解です。「誰でも」「どんな仕事でも」雇えるわけではありません。建設業に関連する主要な在留資格の違いを明確に理解することが、採用成功の第一歩です。
「特定技能」「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」3区分の違いとは?
建設業の現場で主に活躍するのが「特定技能」と「技能実習」です。一方で、施工管理や設計といった専門職・管理職として採用する場合は「技術・人文知識・国際業務」が該当します。
これらは目的も要件も全く異なるため、自社のニーズに合った資格区分を選択する必要があります。
即戦力を求めるなら「特定技能」
「特定技能」は、国内の人手不足が深刻な特定産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるために創設された在留資格です。建設分野もその対象です。採用できるのは、技能試験と日本語試験の合格者、または技能実習2号の修了者です。
技能実習よりも実践的なスキルを持つ人材を、直接雇用(フルタイム)で確保できる点が最大の特徴です。
育成・国際貢献を主眼とする「技能実習」
「技能実習」は、日本の技術を海外(主に途上国)に移転するという「国際貢献」を目的とした制度です。実務を通じて技術を学ぶ「実習生」として受け入れます。あくまで「実習」であるため、労働力不足の解消を主目的とすることはできませんが、技能実習2号を修了すると「特定技能1号」へ移行できる道も開かれています。
施工管理や設計者を採用する「技術・人文知識・国際業務」
この在留資格は、一般的に「就労ビザ」と呼ばれるものです。大学や専門学校で建築・土木工学などを専攻した外国人を、施工管理(現場監督)、設計、CADオペレーター、積算などの専門的・技術的な業務で採用する場合に該当します。
現場の作業員ではなく、ホワイトカラーの専門職を採用するための資格です。
【補足】日本人と同様に働ける「身分系在留資格」とは
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」といった在留資格は、「身分系在留資格」と呼ばれます。これらの資格を持つ外国人は、活動に一切の制限がありません。
つまり、日本人を採用するのと全く同様に、どんな職種(単純作業を含む)でも制限なく雇用することが可能です。
建設業特有の採用プロセスと流れ(特定技能編)
建設業で「特定技能」外国人を採用する場合、他業種にはない独自のプロセスが定められています。国土交通省の管轄のもと、業界団体への加入や受入計画の認定が必要となるため、全体の流れを正確に把握しておくことが不可欠です。
ステップ1:JAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入
まず、受入企業(貴社)は、国土交通省が所管する「一般社団法人建設技能人材機構(JAC)」の正会員または賛助会員になる必要があります。これが建設業で特定技能外国人を受け入れるための大前提となります。
ステップ2:CCUS(建設キャリアアップシステム)への事業者登録
次に、貴社が「建設キャリアアップシステム(CCUS)」に事業者登録し、さらに採用する外国人本人もCCUSに技能者登録することが義務付けられています。これは、技能者の処遇改善やキャリアパスの明確化を図るための仕組みです。
ステップ3:「建設特定技能受入計画」の作成と国土交通大臣の認定
これが最も重要なステップです。JACやCCUSへの登録を済ませた上で、受入企業は「建設特定技能受入計画」を作成し、国土交通大臣(実際の手続きは地方整備局など)に申請し、認定を受ける必要があります。この計画には、雇用条件、支援内容、CCUSへの登録状況などを記載します。
ステップ4:在留資格(ビザ)の申請
国土交通大臣から「受入計画の認定」を受けた後、初めて出入国在留管理庁(入管)に対して在留資格の申請(海外から呼ぶ場合は「在留資格認定証明書交付申請」、国内在住者なら「在留資格変更許可申請」)を行います。
ステップ5:雇用契約と入社手続き・社会保険の加入
無事に在留資格が許可されたら、雇用契約(母国語併記が望ましい)を締結し、入社手続きを行います。社会保険(健康保険、厚生年金)や労働保険(雇用保険、労災保険)への加入は、日本人従業員と全く同じく必須の手続きです。
建設業の外国人採用で失敗しないための注意点
外国人材の採用は、プロセスをクリアすれば終わりではありません。法律、待遇、安全、文化の4つの側面から、採用後に「知らなかった」では済まされない重大な注意点を解説します。
【法律】在留資格の厳格な管理と「不法就労助長罪」のリスク
最も注意すべき法的リスクです。在留カードの期限が切れていないか、保有する在留資格で許可された業務範囲内か(例:技人国ビザの人に現場作業だけをさせない)を厳格に管理する必要があります。
万が一、不法就労と知りながら雇ったり、期限切れに気づかず雇用を継続したりした場合、事業主が「不法就労助長罪」に問われ、重い罰則(3年以下の懲役または300万円以下の罰金など)を科されるリスクがあります。
【待遇】「同一労働同一賃金」の原則と給与水準の遵守
「外国人だから給与を安くできる」という考えは絶対に通用しません。「同一労働同一賃金」の原則に基づき、同じ業務に従事する日本人従業員と同等以上の給与・待遇を保証することが法律で義務付けられています。
特に特定技能では、報酬額が日本人と同等以上であることを受入計画で示す必要があります。
【安全】言語の壁が招く「労働災害」の防止策
建設現場は常に危険と隣り合わせです。日本語の指示(「危ない!」「そこから離れて!」)が理解できない、あるいは安全標識が読めないことが、重大な労働災害に直結する可能性があります。
安全教育の徹底はもちろん、イラストや多言語での掲示、簡単な日本語(やさしい日本語)の使用、朝礼での指差し確認の徹底など、言語の壁を超えて安全を確保する工夫が不可欠です。
【文化】宗教・文化・仕事観の違いへの理解と配慮
イスラム教徒の従業員がラマダン(断食)期間中であることへの配慮や、お祈りのための場所の確保、食事(ハラルなど)への対応など、宗教や文化的な背景への理解が求められる場面があります。
また、残業や休日出勤に対する考え方、家族を最優先する価値観など、仕事観の違いを認識し、互いに尊重し合う職場環境づくりが定着の鍵となります。
外国人労働者の採用後の定着支援と雇用管理のポイント
採用した外国人材に長く活躍してもらうためには、入社後のサポートと適切な雇用管理が極めて重要です。特に「特定技能」では、手厚い支援が法律で義務付けられています。
義務化されている「特定技能1号」への支援計画とは
「特定技能1号」の外国人を受け入れる場合、企業(または委託を受けた登録支援機関)は、彼らが日本で安定して働き、生活できるよう「支援計画」を作成し、実行する義務があります。
支援には、入国前の生活ガイダンス、住居の確保、銀行口座開設や携帯電話契約の補助、日本語学習の機会提供、役所手続きの同行、日本人との交流促進、苦情・相談への対応などが含まれます。
雇用後の各種手続き
社会保険・労働保険の手続きや源泉徴収などは日本人と同様に行います。それに加え、外国人特有の手続きとして、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」(入退社時)や、出入国在留管理庁への各種届出(本人の氏名や在留カード番号の変更、会社の倒産など)が必要となる場合があります。
定着率を高めるためのコミュニケーションとキャリアパス
言語や文化の壁を乗り越えるには、日々の積極的なコミュニケーションが不可欠です。1on1ミーティングの実施、現場での「やさしい日本語」の励行、社内イベントへの参加促進などが有効です。
また、「資格を取れば給与が上がる」「将来は職長になれる」といった具体的なキャリアパスを示すことで、彼らのモチベーションを高め、長期的な定着とスキルアップにつなげることができます。
建設業の外国人採用なら「人材紹介」と「採用広報」に強いアップデートへ
建設業界における外国人採用は、制度の複雑さやマッチングの難易度から、単なる求人掲載だけでは成功しにくいのが現状です。
株式会社アップデートでは、建設業・運送業・製造業に特化した「特定技能(外国人)人材紹介サービス」を提供しています。 自社で外国人材の集客から面談、スクリーニングまでを一貫して行っているため、建設現場のニーズを深く理解した「即戦力人材」のご紹介が可能です。
アップデートが選ばれる理由
・建設特化の特定技能紹介
現場の仕事を理解したスタッフが、貴社にマッチする外国人材を厳選してご紹介します。
・SNSによる採用ブランディング
ショート動画を活用したSNS運用代行も得意としており、企業の魅力を発信して「選ばれる会社」になるための広報支援も並行して行えます。
・定着まで見据えたサポート
採用して終わりではなく、入社後の定着やキャリアアップの仕組みづくりまで包括的に支援します。
「特定技能の受け入れを検討しているが、どこに頼めばいいかわからない」「採用してもすぐに辞めてしまう」といった課題をお持ちの企業様は、人材紹介とSNS運用の両輪で採用を成功に導くアップデートに、ぜひ一度ご相談ください。
株式会社アップデートのHPはこちら
この記事の監修者|堂下 直輝
1994年、兵庫県生まれ。大学卒業後、株式会社マイナビに入社し、支社立ち上げから課長職までを経験。累計500社以上の採用支援に携わる。
2020年、株式会社アップデートを設立し、代表取締役に就任。「仕組みを変え、世界中の課題を解決し続ける」をミッションに掲げ、建設業・運送業・製造業を中心に採用支援事業を展開。
ショート動画やSNSを活用した採用支援を強みに、200を超えるアカウントの運用を支援。採用支援に関する講演活動も積極的に行い、実務と発信の両面から企業の採用課題解決に取り組んでいる。
現在はメガバンクなど金融機関とも提携し、大阪・東京・福岡を拠点に、全国の企業を支援している。

