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製造業におけるSNS運用とは?重要性や活用ポイントを詳しく解説

堂下 直輝
この記事の監修者|堂下 直輝
更新日:2026年08月24日
公開日:2026年06月09日
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製造業におけるSNS運用とは?重要性や活用ポイントを詳しく解説

「うちはBtoBの製造業だから、SNSなんて関係ない」「キラキラした投稿なんて自社には無理だ」……もしそうお考えなら、非常にもったいないことです。今、製造業においてSNSは単なる「流行」ではなく、営業・採用・広報を加速させる強力な経営武器へと進化しています。

本記事では、SNS運用がなぜ現代の製造業に不可欠なのか、その重要性から具体的な活用法、直面しやすい課題の解決策までを解説します。

製造業にとってのSNS運用の重要性とは?

「良いものを作っていれば、いつか誰かが見つけてくれる」という時代は終わりました。情報の波の中で埋もれないためには、自ら発信し、デジタル上の接点を増やすことが求められています。

実際、総務省「令和6年通信利用動向調査」によると、個人のインターネット利用目的のうち「SNSの利用」の割合は81.9%と最も高くなっています。取引先の担当者も、求職者も、その多くが日常的にSNSに触れているのです。

▼参考:令和6年通信利用動向調査の結果|総務省

「選ばれる企業」になるためのデジタル資産

SNSに投稿した写真や動画、日々のこだわりは、蓄積されることで消えない「デジタル資産」となります。ホームページが「動かない看板」だとすれば、SNSは「体温を感じさせる営業所」です。

発信を継続することで、技術力だけでなく、企業の文化や職人の想いが可視化されます。SNSでの発信が取引先からの信頼感に繋がり、競合他社と比較された際の決め手となります。「この会社なら安心して任せられる」という無形の信頼を、SNSを通じて事前に構築できるのです。

BtoB取引の意思決定プロセス(リサーチ行動)の変化

現代のBtoB取引では、発注担当者が営業に問い合わせる前に、Web検索やSNSでの情報収集によって候補企業の絞り込みを進めるのが一般的になっています。

以前は展示会や紹介がメインでしたが、今は担当者がスマホで「加工技術」「会社名」を検索し、SNSでの評判や活動実態をチェックします。その際、SNSが動いていなければ「この会社、今は活気がないのかな?」と不安視され、検討リストから外されてしまうリスクすらあるのです。

総務省「令和7年版 情報通信白書」によれば、X(旧Twitter)やInstagramは全体の半数程度が利用しており、企業の意思決定層にあたる50代でも4割以上が利用するなど、SNSはもはや若者だけのツールではなく、幅広い年齢層に浸透しています。

▼参考:令和7年版 情報通信白書|総務省

製造業がSNS運用によって得られる効果・メリット

SNSを運用するメリットは、単に「有名になること」だけではありません。コスト削減や、これまで出会えなかった層へのアプローチなど、実利に直結する効果が数多く存在します。

認知度の爆発的向上と潜在顧客へのリーチ

従来の営業スタイルでは、リストにある企業にしかアプローチできませんでした。しかし、SNSの拡散力を活用すれば、自社の存在を知らなかった潜在顧客へ、一瞬で情報を届けることが可能です。

例えば、自社の特殊な加工技術を動画でアップしたところ、全く別業界の設計者から「この技術、うちの製品に応用できないか?」と声がかかるケースも珍しくありません。SNSは、地域や業界の壁を軽々と越えて、新しい市場の扉を開いてくれるツールなのです。

ミスマッチのない質の高い人材獲得(採用ブランディング)

多くの製造業が抱える「人手不足」という課題に対しても、SNSは特効薬となります。

人手不足の深刻さは、国のデータにも表れています。経済産業省・厚生労働省・文部科学省がまとめた「ものづくり白書」によると、製造業の就業者数は2025年に1,033万人と減少傾向にあり、2002年以降、若年就業者数は減少する一方で高齢就業者数は増加しています。また、中小製造業の従業員数過不足DI(「過剰」-「不足」の企業割合)は2025年にマイナス17.9と、人手が「不足」と答えた企業が大幅に上回る状況が続いています。求人票を出して待つだけでは、若手人材に出会うことすら難しい時代なのです。

求人票の文字情報だけでは伝わらない工場の雰囲気、先輩社員の笑顔、休憩時間の様子などをありのままに発信しましょう。

SNSでの発信を見た求職者は、入社後のイメージを具体的に持つことができます。「思っていた職場と違った」という早期離職を防ぐだけでなく、「この会社で働きたい!」という熱量の高い人材が集まるようになり、採用コストの大幅な削減に貢献します。

▼参考:2026年版 ものづくり白書(令和7年度 ものづくり基盤技術の振興施策)|経済産業省|厚生労働省|部分化学省

▼関連記事:製造業の人手不足を打破する解決策とは?選ばれるための戦略ポイントを詳しく解説

低コストで実現する24時間稼働のデジタル営業

SNSは、一度投稿すればあなたが寝ている間も、現場で作業している間も、世界中に自社を宣伝し続けてくれます。つまり、人件費のかからない「デジタル営業マン」を雇っているようなものです。

高額な広告費をかけずとも、スマートフォン一台で始められる点も大きな魅力です。日々の製作風景や納品実績をコツコツ発信することが、将来的な受注に繋がる種まきとなり、長期的に見れば非常に投資対効果の高い営業手法となります。

既存顧客のファン化と顧客満足度の向上

SNSは新規開拓のためだけではありません。既に取引のある顧客に対しても、自社の新しい取り組みや設備の導入状況を伝えることで、「常に進化しているパートナーだ」という安心感を与えられます。

コメント欄やDMを通じて顧客とカジュアルにコミュニケーションを取ることで、心理的な距離が縮まり、解約防止やリピート発注の促進に繋がります。自社のファンを増やすことは、経営基盤を安定させるための最も確実な戦略の一つです。

海外市場への低コストなアプローチと販路開拓

「海外展開したいが、何から手をつければいいか分からない」という企業こそ、SNSを活用すべきです。特に画像や動画がメインのプラットフォームでは、言語の壁を越えて技術力の高さが伝わります。

適切なハッシュタグを活用することで、海外のバイヤーやエンジニアの目に留まる可能性が飛躍的に高まります。現地に事務所を構える前に、まずはSNSで世界の反応をテストする。そんなスマートな海外進出が可能になります。

製造業がSNS運用を始める5つのステップ

いきなりアカウントを作って投稿を始めるのではなく、以下の手順で準備を進めると失敗を防げます。

ステップ1:目的とKPIを決める

「採用」「新規営業」「既存顧客との関係強化」など、最優先の目的を1つに絞り、「応募数」「問い合わせ数」といった測定可能な指標(KPI)を設定します。

ステップ2:ターゲットを具体化する

「地元の工業高校に通う高校生」「加工先を探している設計担当者」など、届けたい相手を具体的な人物像まで落とし込みます。ターゲットが決まれば、選ぶべきSNSと発信内容が自然と定まります。

ステップ3:SNSを1つ選んで集中する

最初から複数媒体を並行運用すると必ず息切れします。後述する各SNSの特徴を踏まえ、ターゲットが最も多くいる媒体を1つ選びましょう。

ステップ4:運用体制とルールを整える

撮影担当・投稿担当・承認者の役割分担を決め、「載せてよい情報・いけない情報」を定めた簡単な運用ルール(SNSポリシー)を作成します。取引先の製品や機密情報が映り込まないよう、事前の線引きが重要です。

ステップ5:投稿・分析・改善を繰り返す

まずは3ヶ月、決めた頻度で投稿を継続し、反応の良かった投稿の傾向を分析して次に活かします。短期で成果を判断せず、中長期の資産づくりとして取り組みましょう。

製造業がSNS運用を行ううえで押さえるべきポイント

いざSNSを始めようとしても、戦略なしに突き進むと「三日坊主」で終わってしまいます。継続し、結果を出すための重要なポイントを整理しましょう。

目的を絞って開始する

「あれもこれも」と欲張ると、発信内容がブレてしまい、誰の心にも刺さらないアカウントになってしまいます。まずは「若手人材を3名採用する」「新規の加工相談を月に5件獲得する」といった明確な優先順位を決めましょう。

採用が目的なら「社員の日常や福利厚生」を、営業が目的なら「技術解説や過去の実績」を中心に発信します。軸が定まれば、投稿のネタ選びもスムーズになり、ターゲットに響く言葉を選べるようになります。

無理なく継続するための社内仕組み化

SNS運用の最大の敵は「忙しさ」です。社長や一人の担当者が孤軍奮闘するのではなく、チームで取り組む仕組みを作りましょう。

例えば、「週に一度、各部署から写真を集める日を作る」「撮影は若手、投稿文のチェックは課長」といった役割分担を明確にします。また、完璧を目指しすぎず、現場の「加工の火花がきれいだった」「珍しい材料が入った」といった些細な感動を共有する文化を社内に醸成することが、長続きの秘訣です。

「毎日投稿」よりも「ターゲットへの価値提供」を優先する

「毎日投稿しなければならない」という強迫観念は捨ててください。無理に投稿をひねり出して、中身のない内容を発信しても逆効果です。

大切なのは、それを見たターゲットが「勉強になった」「面白い」「この会社に頼みたい」と思える価値があるかどうかです。週に2〜3回でも良いので、プロの視点での解説や、現場ならではの裏話など、自社にしか出せない「濃い情報」を丁寧に発信することを心がけましょう。

各種SNSの特徴と製造業向け活用法

SNSにはそれぞれ特性があります。自社の強みや目的に合わせて、最適なプラットフォームを選別しましょう。

Instagram

Instagramは、写真や動画のクオリティが重視されるSNSです。製造業においては、完成品の美しさや、火花が散る溶接の瞬間、旋盤の滑らかな動きなど、「視覚的な凄み」を伝えるのに最適です。

また、若年層の利用率が高いため、採用活動には欠かせません。ストーリーズ機能を使って社内の日常をアップすれば、親近感を醸成でき、入社希望者への強力なアピールになります。

▼参考:製造業のInstagram活用ポイント|採用・集客の課題を解決する戦略を解説

X(旧Twitter)

Xの最大の特徴は、その圧倒的な「情報の速さ」と「拡散力」です。140文字という短文で気軽に発信できるため、同業者や他業種の技術者と繋がるコミュニティ形成に向いています。

「#製造業」などのハッシュタグを通じて、他社の担当者と交流したり、業界のトレンドをいち早くキャッチしたりすることができます。「中の人」の個性を出すことで親近感を持たれやすく、そこからビジネスの相談に発展することも少なくありません。

LinkedIn

ビジネス特化型のSNSであるLinkedInは、製造業のBtoB営業において最もポテンシャルの高いツールです。利用者の多くがビジネス目的で登録しているため、意思決定権を持つ経営層やエンジニアに直接アプローチできます。

自社の専門的な論文や、展示会への出展報告、技術的なホワイトペーパーなどを共有することで、「専門家」としての地位を確立できます。特に海外市場を狙う場合、LinkedInでの活動は信頼の証となります。

Facebook

Facebookは実名性が高く、比較的年齢層が高い層に利用されています。そのため、既存の取引先への近況報告や、公式なプレスリリースの共有に適しています。

また、東南アジアなどの一部地域では、Facebookが「ビジネスのメインインフラ」として機能している国も多いです。海外の現地法人や代理店とのコミュニケーションツール、あるいは窓口として運用することで、グローバルな信頼獲得に寄与します。

TikTok

「若者のダンス動画」というイメージはもう古いです。TikTokの短尺動画は、実は製造現場の「音」や「ダイナミックな動き」と非常に相性が良く、製造業のアカウントが数百万回再生される事例も増えています。

言葉での説明が難しい高度な技術も、15秒の動画で見せれば一発で伝わります。意外性のある映像はおすすめに乗りやすく、全く接点のなかった層にまで自社の名前を知ってもらうチャンスを秘めています。

YouTube

YouTubeは、他のSNSに比べて「長尺の動画」でじっくり情報を伝えられるのが強みです。加工工程のフル解説、工場見学ツアー、社員の1日密着など、企業の技術力と人柄を深く理解してもらうコンテンツに向いています。

また、YouTubeの動画はGoogle検索の結果にも表示されるため、「〇〇加工 とは」といった検索からの流入が見込める点も製造業と好相性です。一度作った動画は資産として長く再生され続けるため、ショート動画(TikTok・リール)と併用し、「短尺で興味を引き、長尺で深く伝える」役割分担がおすすめです。

▼関連記事:製造業のYouTubeは集客に効果的?運用のポイントを解説

製造業がSNS運用において直面しやすい課題

いざ始めると、必ずと言っていいほどいくつかの壁にぶつかります。あらかじめ対処法を知っておけば、挫折するリスクを減らせます。

ネタ不足

「毎日同じ作業の繰り返しで、投稿するネタがない」という悩みは非常に多いです。しかし、専門家にとっての「当たり前」は、素人や顧客にとっての「驚き」です。

朝の清掃風景、工具の手入れ、材料の質感、あるいは失敗談からの学び……視点を少し変えるだけで、現場はネタの宝庫に変わります。「今日の現場の一コマ」を切り取る勇気を持ちましょう。

人手・時間不足

専任の担当者を置く余裕がないのは当然です。まずは「一日の終わりの5分だけ」と決めたり、スマホの予約投稿機能を活用したりして、業務フローに組み込みましょう。

また、全てのSNSを完璧にこなそうとせず、まずは一箇所に絞る「選択と集中」も重要です。成果が見えてくれば、社内の協力体制も自然と整ってきます。

フォロワー獲得

「フォロワーが全然増えない」と嘆く必要はありません。製造業の場合、数万人のフォロワーよりも、たった1人の「発注を決めてくれる担当者」に見てもらう方が価値があります。

数を追うのではなく、ターゲットが検索しそうな言葉をプロフィールや投稿に入れ、誠実に発信を続けましょう。質の高い投稿を続けていれば、必要な人へ必ず届くようになります。

効果測定

SNSの効果は目に見えにくいものですが、「いいね」の数だけで一喜一憂するのは禁物です。「SNSを見て問い合わせた」という声を拾い上げたり、採用面接で「SNSを見ましたか?」と質問したりして、定性的な効果を可視化しましょう。

長期的な視点を持ち、SNSがもたらす「無形の信頼」が、いかに有形の利益(成約や採用)に結びついているかを観察することが大切です。

製造業のSNS運用に関するよくある質問

最後に、製造業のSNS運用について、担当者の方からよく寄せられる質問をまとめました。「本当に効果があるのか」「何から手をつければいいのか」といった疑問の解消にお役立てください。

Q1. 製造業がSNSをやっても意味がないのでは?

意味がないということはありません。総務省の調査ではインターネット利用目的の第1位が「SNSの利用」(81.9%)であり、取引先の担当者も求職者も日常的にSNSを見ています。BtoB取引や採用の場面で「検索・SNSで確認される」ことを前提にすると、発信の有無が企業の比較検討に直接影響します。

Q2. 何から始めればいいですか?

まず「採用」「営業」など目的を1つに絞り、ターゲットが最も利用しているSNSを1媒体だけ選んで始めるのがおすすめです。週2〜3回の投稿を3ヶ月継続することを最初の目標にしましょう。

Q3. BtoBの製造業でも効果はありますか?

あります。発注担当者も一人の個人としてSNSを利用しており、問い合わせ前の情報収集段階で企業のSNSがチェックされるケースが増えています。技術解説や納品実績の発信は、商談前の信頼構築に直結します。

Q4. 製造業にはどのSNSが向いていますか?

目的によって異なります。採用が目的ならInstagramやTikTokなど若年層の利用率が高い媒体、BtoB営業ならLinkedInやX、技術を深く伝えたい場合はYouTubeが向いています。まずは1つに絞って運用しましょう。

Q5. SNS運用を外注する場合の費用相場は?

支援範囲によって幅がありますが、投稿代行のみなら月数万円から、企画・撮影・分析まで含む一括支援では月10万〜50万円程度が一般的な目安です。自社の工数削減効果と採用単価・広告費の削減効果を合わせて費用対効果を判断しましょう。

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堂下 直輝

この記事の監修者|堂下 直輝

1994年、兵庫県生まれ。大学卒業後、株式会社マイナビに入社し、支社立ち上げから課長職までを経験。累計500社以上の採用支援に携わる。

2020年、株式会社アップデートを設立し、代表取締役に就任。「仕組みを変え、世界中の課題を解決し続ける」をミッションに掲げ、建設業・運送業・製造業を中心に採用支援事業を展開。
ショート動画やSNSを活用した採用支援を強みに、200を超えるアカウントの運用を支援。採用支援に関する講演活動も積極的に行い、実務と発信の両面から企業の採用課題解決に取り組んでいる。

現在はメガバンクなど金融機関とも提携し、大阪・東京・福岡を拠点に、全国の企業を支援している。

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