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製造業の採用戦略7ステップ|職種で変わる採用難易度と中小の勝ち筋を解説

堂下 直輝
この記事の監修者|堂下 直輝
更新日:2026年09月03日
公開日:2026年09月02日
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製造業の採用戦略7ステップ|職種で変わる採用難易度と中小の勝ち筋を解説

「求人を出しても応募が来ない」「採用できても長く続かない」。製造業の採用担当者からは、この2つをほぼ必ず聞きます。

ただ、その原因を「製造業は人気がないから」で片づけてしまうと、打つ手がなくなります。実際の数字を見ると、製造業の採用環境は世間で語られているイメージとかなり違います。募集する職種によって採用の難易度は5倍近く変わりますし、年齢構成で見れば製造業は全産業より若い側にいます。

この記事では、公的統計で製造業の採用市場を正確に把握したうえで、採用戦略を組み立てる7つのステップと、採用がうまくいっている製造業に共通する特徴を解説します。

製造業の採用戦略とは|「求人を出す」と何が違うのか

採用戦略とは、「どんな人材を」「何人」「いつまでに」「どこから」採用し、「どう定着させるか」を、自社の事業計画とひも付けて設計したものです。

求人媒体に出稿する、ハローワークに求人票を出す、人材紹介会社に依頼する。これらはすべて「手段」であって戦略ではありません。手段だけを実行している状態は、目的地を決めずに車を走らせているのと同じです。うまくいっても再現できず、うまくいかなくても原因が特定できません。

採用戦略が立っていない状態とは

次のうち3つ以上に当てはまる場合、戦略が立っていない状態と考えて差し支えありません。

1つ目、今期何人採用する必要があるかを、退職見込みと生産計画から逆算していない。2つ目、求人票の内容が去年とほぼ同じ。3つ目、募集職種ごとに採用の難易度が違うことを把握していない。4つ目、応募が来ない理由を媒体担当者に聞くだけで終わっている。5つ目、内定辞退や早期離職が起きた理由を記録していない。

いずれも「忙しくて手が回らない」ことが原因で起きます。裏を返せば、時間さえ確保できれば改善できる項目でもあります。

戦略なき採用が生む3つの損失

1つ目は、費用の垂れ流しです。効果を測る基準がないため、成果の出ていない媒体への出稿を止める判断ができません。「去年も出したから」で継続してしまいます。

2つ目は、ミスマッチによる早期離職です。求める人物像が言語化されていないと、面接での評価軸が担当者ごとにぶれます。採用してから「思っていた人と違う」となり、教育コストが丸ごと消えます。

3つ目は、機会損失です。人員が足りずに受注を断る、あるいは残業でしのいで既存社員が疲弊する。どちらも、その期の売上と、その先の生産能力を同時に削ります。

金額に置き換えると分かりやすくなります。求人媒体に年間120万円を出稿し、応募が12件、採用が2名、うち1名が3か月で退職した場合。実質的に定着したのは1名なので、採用単価は120万円です。ここに面接や教育に使った現場の時間を人件費として加えると、実際の負担はさらに増えます。この計算を一度もしていない会社は少なくありません。

数字で見る製造業の採用市場(2026年最新)

打ち手を考える前に、市場の実態を数字で押さえます。ここで挙げる数値はすべて公的統計の最新値です。

生産工程1.51倍|全職業0.99倍との差をどう読むか

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」参考統計表7-1によると、生産工程従事者の有効求人倍率は1.51倍です。全職業計は0.99倍ですから、およそ1.5倍の水準にあります。

ここで大事なのは、他業種と比べたときの立ち位置です。同じ統計で建設・採掘従事者は4.66倍、輸送・機械運転従事者は1.97倍。つまり製造業は、フィールドワーカーと呼ばれる業種のなかでは「まだ採用しやすい側」に位置しています。

この事実は、悲観する材料ではなく武器になります。建設や運送と人材を奪い合う場面で、製造業は勝負できる余地が残っているということだからです。

前年より上がったのは製造だけ|ただし理由は「応募者が11.6%減った」から

見落としてはいけないのが、前年からの変化です。

職業有効求人倍率前年同月差
職業計0.99倍-0.06
生産工程従事者1.51倍+0.02
建設・採掘従事者4.66倍-0.15
輸送・機械運転従事者1.97倍-0.10

職業計も建設も運送も、前年より倍率が下がっています。上がったのは生産工程だけです。

倍率が上がったと聞くと「製造業の求人需要が伸びている」と読みたくなりますが、内訳は逆でした。生産工程従事者の有効求人は前年同月比マイナス1.1%と、わずかに減っています。一方で新規求職者はマイナス11.6%、有効求職者もマイナス2.8%。求人が増えたのではなく、応募してくる人がそれ以上の速さで減ったために倍率が上がったのです。

これは採用担当者にとって最も厄介なタイプの数字です。求人を出している会社の数は変わらないのに、そこへ向かってくる人の流れだけが細くなっています。同じ求人票を同じ媒体に出し続けている限り、応募が減るのは当然の帰結です。

職種で0.78倍〜3.76倍|「製造業は採れない」は雑すぎる

「生産工程1.51倍」という数字は、実は使いものになりません。同じ統計を職種まで分解すると、次のようになります。

職種(生産工程の内訳)有効求人倍率
機械整備・修理従事者3.76倍
製品製造・加工処理従事者(金属製品)1.99倍
生産設備制御・監視従事者(金属製品を除く)1.74倍
製品検査従事者(金属製品を除く)1.69倍
製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く)1.55倍
機械検査従事者1.28倍
製品検査従事者(金属製品)1.07倍
生産設備制御・監視従事者(金属製品)0.99倍
機械式生産設備制御・監視従事者0.97倍
機械組立従事者0.82倍
生産関連・生産類似作業従事者0.78倍

最も難しい機械整備・修理従事者の3.76倍と、最も易しい生産関連・生産類似作業従事者の0.78倍で、4.8倍の開きがあります。

さらに重要なのは、機械組立従事者0.82倍、生産関連・生産類似作業従事者0.78倍、機械式生産設備制御・監視従事者0.97倍、生産設備制御・監視従事者(金属製品)0.99倍の4職種が1倍を割っていることです。1倍を割るとは、求人1件に対して求職者が1人以上いる状態、つまり企業側が選べる側にいるということです。

「うちは人が採れない」と言う前に、自社が募集している職種がこの表のどこにあるかを確認してください。3.76倍の職種で苦戦しているなら、それは自社の問題ではなく市場の問題です。逆に0.82倍の職種で応募が来ないなら、求人の出し方か見せ方に原因があります。この切り分けができるかどうかで、次の打ち手がまったく変わります。

就業者1,033万人・過不足DI -17.9|コロナ前の水準に戻った

2026年版ものづくり白書(経済産業省・厚生労働省・文部科学省)によると、製造業の就業者数は2024年の1,046万人から2025年は1,033万人へとわずかに減少しました。2002年の1,202万人と比べると、約24年で169万人減っています。

中小企業における製造業の従業員数過不足DIは、2025年でマイナス17.9。2020年に新型コロナウイルスの影響で一時プラス1.1(=過剰)に転じましたが、その後は不足に戻り、感染拡大前の2019年(マイナス18.2)に近い水準です。

つまり、人手不足の度合いそのものはコロナ前に戻っただけで、悪化し続けているわけではありません。製造業の人手不足を打破する解決策については別記事で詳しく扱っていますが、いま起きているのは「かつてない未曾有の危機」ではなく、「元の厳しさに戻った状態が続いている」というのが正確な理解です。

年齢構成では負けていない|34歳以下25.0%は全産業とほぼ同じ

もうひとつ、多くの記事が書いていない事実があります。

同じものづくり白書によると、製造業の34歳以下の就業者は2025年で258万人・全体の25.0%。これに対し全産業の34歳以下の割合は25.4%です。ほぼ同じです。

65歳以上に至っては、製造業が85万人・8.2%であるのに対し、全産業は13.8%。製造業のほうが高齢化していません。

参考までに、建設業は55歳以上が36.6%、29歳以下が11.6%(全産業は31.9%・16.7%)で、明確に全産業より高齢に偏っています。製造業はそうなっていません。

この数字が意味するのは、「若者が来ないのは業界のイメージが悪いから」という説明が、少なくとも年齢構成のうえでは成り立たないということです。同じ割合で若者が入っている業界のなかで、自社にだけ来ないのであれば、原因は業界ではなく自社の見せ方や採り方にあります。製造業の若者離れの原因と対策を考えるときも、この前提から始めるべきです。

ただし、ひとつ注意が必要です。34歳以下の実数は2002年の384万人から258万人へと33%減っています。割合が同じでも、母集団そのものは3分の2に縮んでいます。「割合が同じ=採用が楽」ではありません。

製造業の採用がうまくいかない5つの理由

市場の数字を踏まえたうえで、個社レベルで起きている問題を整理します。

①募集職種の難易度を確かめないまま同じ手を打っている

前章のとおり、職種によって採用難易度は4.8倍違います。にもかかわらず、多くの会社が全職種を同じ求人媒体・同じ予算・同じ求人票の型で募集しています。

3.76倍の職種と0.78倍の職種に同じ手を打てば、前者は採れず、後者は採れすぎて選考の質が落ちます。どちらも損です。

②中小の主戦場は中途なのに、新卒の型で採用している

労働政策研究・研修機構(JILPT)が2026年5月に実施した調査によると、ものづくり人材の採用方針は従業員規模によってはっきり分かれます。

従業員規模新卒採用中心中途採用中心
規模計15.4%56.1%
49人以下8.6%66.2%
50〜99人13.7%57.3%
100〜299人23.7%43.4%
300人以上43.3%22.3%

従業員49人以下の会社では、新卒採用中心はわずか8.6%、中途採用中心が66.2%。3社に2社が中途で人材を確保しています。300人以上(新卒中心43.3%)とは正反対です。

中途採用は新卒採用とルールが違います。応募のタイミングは通年で読めず、比較対象は他社の求人ではなく「いまの職場」です。給与だけでなく通勤時間や勤務シフトが決め手になりますし、選考に時間をかけると在職中の候補者は他社に決めてしまいます。

にもかかわらず、新卒の型(説明会を開いて、時間をかけて選考して、内定を出して4月入社)をそのまま中途に当てはめている会社が少なくありません。

③仕事の中身が求職者にまったく伝わっていない

製造業の求人票でよく見るのは、「機械オペレーター」「製造スタッフ」「検査業務」といった職種名と、「未経験歓迎」「シフト制」といった条件の羅列です。

これで求職者が想像できるのは、せいぜい「工場で何かをつくる仕事」までです。何をつくっているのか、1日の流れはどうなっているのか、どんな人が働いているのか、5年後にどうなれるのか。これらが分からないまま応募する人は、そもそも他に選択肢がない人だけです。

④賃金で勝負する設計になっている

先のJILPT調査では、人材の定着に向けた取組として最も多かったのが「賃金水準の向上」で71.5%でした。ただし内訳を見ると、従業員49人以下は65.9%、300人以上は83.8%。規模が大きい会社ほど賃上げに取り組んでいます。

当然ながら、原資の大きさは規模に比例します。中小企業が同じ土俵で戦えば不利になるのは避けられません。賃金を上げる努力は必要ですが、それだけを勝ち筋に据えた設計は続きません。

⑤採用担当が現場と兼務で、動ける時間が無い

中小の製造業では、採用担当が総務や製造管理と兼務しているケースがほとんどです。求人票の更新、応募者への連絡、面接日程の調整、媒体担当者との打ち合わせ。これらは断続的に発生するため、まとまった時間が取れません。

結果として、「応募が来たら対応する」受け身の運用になります。応募から連絡までに3日かかれば、その間に候補者は他社の選考を進めています。

製造業の採用戦略7ステップ

ここからは具体的な組み立て方です。順番に意味があるので、上から進めてください。

Step1 採用の目的とゴールを数字で決める

最初にやるのは、「何人を、いつまでに、どの職種で」を数字で確定させることです。

必要人数は、来期の生産計画に必要な人員から、現在の人員と退職見込みを差し引いて算出します。「なんとなく足りない」ではなく、「第2工場のラインを2交代で回すために、組立工程で3人、検査工程で1人、10月までに」まで落とします。

同時に、採用単価の上限も決めます。1人あたりいくらまでなら投資できるのか。この基準がないと、媒体を止める判断も、増やす判断もできません。

上限の決め方はシンプルです。その人が1年間に生み出す粗利、もしくは「その人がいないことで失う粗利」の何割までなら投資できるかで置きます。人手不足でラインが止まっている工程なら、上限は高く設定して構いません。逆に、余裕のある工程に念のため増員する場合は低く抑えます。全職種で同じ上限を使っている状態は、そもそも優先順位が付いていないということです。

Step2 募集職種の採用難易度を確かめる

Step1で確定した職種について、市場の難易度を確認します。目安は前章の表です。

そのうえで、自社の応募実績と突き合わせます。1倍を割る職種で応募がゼロなら、原因は市場ではなく自社の求人内容にあります。3.76倍の職種なら、通常の求人媒体だけで採るのは現実的でないと判断し、育成前提で未経験者を採る、あるいは外部の力を借りるといった方針転換を検討します。

この工程を飛ばすと、以降のすべての施策が的外れになります。

Step3 ターゲット(採用ペルソナ)を再定義する

「誰でもいいから来てほしい」は、誰にも刺さりません。

前章のとおり、49人以下の製造業では中途採用中心が66.2%です。中途を主戦場にするなら、ペルソナは「異業種から製造業に移りたい人」「同業他社で条件に不満がある人」「Uターン・Iターンを考えている人」など、置かれた状況で切り分けます。

若手を狙うのであれば、なぜ自社に若手が来ていないのかを先に特定してください。業界全体では34歳以下が25.0%入っているのですから、来ていないのは自社固有の理由です。

外国人材を検討する場合は、受け入れ体制の整備が先です。製造業の外国人採用における雇用の流れ・注意点を確認したうえで判断してください。

Step4 自社の魅力を求職者の言葉に翻訳する

自社の強みを社内の言葉のまま出しても伝わりません。「高精度加工に強み」は求職者にとって情報になりません。「0.01ミリの精度が求められる部品をつくっていて、その技術は3年かけて身につける」まで翻訳して初めて、仕事の魅力として届きます。

翻訳の材料は、既存社員から集めるのが確実です。入社の決め手、辞めなかった理由、仕事で嬉しかった瞬間。この3つを5人に聞けば、自社の魅力は必ず言語化できます。

会社そのものの見え方を整える取り組みについては、製造業のブランディング戦略で詳しく解説しています。

Step5 ターゲットに届くチャネルを選ぶ

Step3で定めたターゲットが、実際に情報を見ている場所を選びます。求人媒体だけが接点ではありません。

主なチャネルの性質を整理すると次のようになります。

チャネル届く相手立ち上がりの早さ向いている場面
求人媒体いま転職を考えている人早い(掲載直後)急ぎで人数を確保したい
ハローワーク地域で仕事を探している人早い費用をかけずに地元から採る
人材紹介転職活動中の人(非公開層を含む)難易度の高い職種を採る
SNS転職を考えていない人にも届く遅い(3か月〜)認知をつくり応募単価を下げる
自社の採用ページすべてのチャネルの通過点どのチャネルを使う場合も必須

早く効くものと、遅く効くものを組み合わせるのが基本です。求人媒体だけに頼ると、出稿を止めた瞬間に応募がゼロになります。SNSだけを始めても、今月の欠員は埋まりません。

求人媒体は、いま転職を考えている層に届きます。手っ取り早い反面、条件比較の土俵に乗るため、賃金や休日で劣る会社は不利になります。

ハローワークは費用がかからず、地元密着の採用に向いています。ただし掲載できる情報量が限られるため、自社サイトの採用ページとセットで使う必要があります。

SNSは、いま転職を考えていない層にも届く点が求人媒体と決定的に違います。工場の中を見せられるので、求人票では伝わらない仕事の中身を伝えられます。全体像は製造業におけるSNS運用の記事にまとめています。写真で現場や製品の見え方を伝えるなら製造業のInstagram活用ポイント、作業の流れや社員の人柄まで伝えるなら製造業のYouTube運用が向いています。

自社サイトの採用ページは、どのチャネルから来た人も最後に必ず見る場所です。ここが更新されていないと、他をどれだけ頑張っても取りこぼします。

Step6 選考から内定までを短くする

中途採用では、選考スピードがそのまま採用率に直結します。在職中の候補者は複数社を並行して受けており、最初に内定を出した会社が有利です。

具体的には、応募から一次連絡まで24時間以内、応募から内定まで2週間以内を目安に設計します。面接回数を減らす、工場見学と面接を同日に行う、決裁者を面接に同席させる。この3つでほとんどの会社は短縮できます。

「じっくり見極めたい」という気持ちは分かりますが、見極める前に候補者がいなくなっては意味がありません。

Step7 定着と技能継承までを設計する

採用は入社がゴールではありません。ここが製造業では特に重要です。

先のJILPT調査によると、技能継承のための取組で最も多いのは「再雇用や勤務延長などにより高年齢の従業員に継続勤務してもらう」で54.8%。一方、「継承すべき技能の見える化(テキスト化・マニュアル化・デジタル化)」に取り組んでいるのは31.2%にとどまり、従業員49人以下では25.9%まで下がります。

半数以上の会社が「ベテランに辞めないでもらう」ことで技能を保っており、若手に渡す仕組みまでは作れていないという状態です。

この状態で人を採用しても、入った人は「教えてもらえない」「見て覚えろと言われる」と感じて辞めます。採用に投じた費用が丸ごと消えるだけでなく、教育に使った現場の時間も失われます。

最低限、入社後3か月で何ができるようになるかを工程ごとに書き出し、誰が教えるかを決めてください。マニュアルの完成度より、「決まっていること」自体に意味があります。

たとえば組立工程であれば、1か月目は治具の準備と部品の識別、2か月目は標準作業での組立、3か月目は自主検査までを1人でできる状態、というように区切ります。そのうえで、それぞれを誰が教えるかを名前で決めます。「先輩が適当に見る」ではなく、担当者を1人決めるだけで、新人が質問できる相手が明確になります。

離職が起きたときは、必ず理由を記録してください。「人間関係」で片づけず、いつ・どの工程で・何をきっかけに、まで残します。3件たまると、自社が繰り返している失敗の型が見えます。

7ステップを3か月で回す進め方

7つを同時に始めると、どれも中途半端になります。実際に支援している会社では、次の順番で進めています。

時期やること目安の工数
1か月目Step1〜2(必要人数と採用単価の確定、募集職種の難易度確認)合計5時間
1〜2か月目Step3〜4(ペルソナ設定、社員5人へのヒアリングと言語化)合計10時間
2か月目Step5(チャネル選定、求人票の書き直し、採用ページの見直し)合計15時間
2か月目Step6(選考フローの短縮、社内の合意取り)合計3時間
3か月目Step7(入社後3か月の育成計画、担当者の割り当て)合計8時間

合計で約40時間です。週3時間を3か月確保できれば回せる計算になります。逆に言えば、この時間が取れない状態で施策だけを増やしても成果は出ません。時間が取れないこと自体が、次章の「外部に任せるか」の判断材料になります。

採用がうまくいっている製造業の共通点

支援の現場で見てきた、成果が出ている会社に共通する3点です。

「製品」ではなく「働いている人」を出している

うまくいっていない会社の発信は、製品と設備の写真ばかりです。求職者が知りたいのは、そこで働いている人がどんな人かです。

成果が出ている会社は、社員が顔を出して話しています。ベテランが技術を語る、若手が入社1年目の本音を話す、社長が会社の方針を自分の言葉で説明する。この3種類がそろうと、求職者は「働く自分」を想像できるようになります。製造業の採用を成功させるために必要なことの記事でも、この点を軸に整理しています。

採用広報と営業広報を1つの資産で回している

中小製造業にとって、発信のための時間と人手は貴重です。うまくいっている会社は、採用向けにつくったコンテンツを営業にも使っています。

「うちの技術力はこうです」「この加工ができます」という発信は、求職者にとっては仕事の魅力であり、取引先にとっては発注の判断材料です。同じ素材で両方に効きます。製造業のマーケティングの考え方や、製造業の新規開拓に有効な手法とあわせて設計すると、投じた労力の回収率が上がります。

賃金以外の勝ち筋を1つ持っている

賃上げは大企業のほうが得意です(300人以上の83.8%が実施)。中小が同じ勝負をしても消耗するだけなので、別の軸を1つ立てます。

たとえば「残業が月10時間以下」「土日固定休」「工場から駅まで送迎あり」「未経験から3年で多能工になれる育成制度」。どれも大企業が真似しづらく、かつ求職者が具体的に想像できる条件です。1つでいいので、他社が言えないことを1つ持ってください。

大切なのは、それを求人票の隅に小さく書くのではなく、見出しに持ってくることです。「未経験歓迎・アットホームな職場」はどの会社も書いています。「残業月10時間以下、直近3年の平均9.2時間」と数字で書けば、それだけで比較の土俵が変わります。数字が出せる条件を1つ探してください。

導入実績一覧では、実際に採用につながった事例をまとめています。

自社でやるか、外部に任せるか

7ステップを自社だけで回すのは簡単ではありません。判断基準を整理します。

内製が向いているケース

採用に週10時間以上を継続して割ける担当者がいる場合は、内製が向いています。自社の仕事の中身を最もよく知っているのは社内の人間ですから、翻訳の精度は内製が上です。

また、採用人数が年に数名で、募集職種が1倍前後の職種に限られる場合も、内製で十分に成立します。

外部委託が向いているケース

採用担当が兼務で、まとまった時間が取れない場合。3.76倍のような難易度の高い職種を採る必要がある場合。SNSや動画など、社内に経験のない手法を新しく始める場合。この3つのいずれかに当てはまるなら、外部の力を借りたほうが早く、結果的に安くつきます。

特にSNSは、始めること自体は無料でも、続けるための企画・撮影・編集に時間がかかります。3か月で止まってしまう会社が最も多いパターンです。

委託先を選ぶときの3つの確認事項

1つ目、製造業の支援実績があるか。工場という現場の特殊性(撮影できる場所の制約、機密、シフト勤務)を知らない会社に任せると、現場が疲弊します。

2つ目、何を成果指標にするかを最初に合意できるか。フォロワー数ではなく応募数で握れる相手を選んでください。

3つ目、社内に何が残るか。委託が終わったあと、撮影素材も運用ノウハウも残らない契約は、費用対効果が悪くなります。

製造業の採用戦略に関するよくある質問

まず何から手をつければいいですか?

Step2の「募集職種の採用難易度を確かめる」からです。これは1時間もあれば終わりますし、ここで自社の状況が「市場の問題」なのか「自社の問題」なのかが分かります。切り分けができていない状態で施策を増やすと、費用だけが増えます。

求人媒体を増やせば応募は増えますか?

1倍を割っている職種であれば増える可能性があります。ただし、いま出している媒体で応募がゼロなのであれば、媒体を増やしても結果は同じです。求職者が見ているのは媒体ではなく求人の中身だからです。まず求人票の内容を見直してください。

新卒と中途、どちらを優先すべきですか?

従業員49人以下の製造業では、中途採用中心が66.2%、新卒採用中心は8.6%です。まずは中途を主戦場と考えるのが実態に合っています。新卒は入社までに時間がかかるうえ、受け入れと育成の体制が整っていないと定着しません。中途で人員を安定させ、教える仕組みを整えてから新卒に手を広げる順番が現実的です。

予算が限られている場合、何を優先すべきですか?

自社サイトの採用ページの整備です。どのチャネルから来た人も最後にここを見ます。社員の写真とインタビュー、1日の流れ、給与のモデルケース。この3つがあるだけで、応募率は変わります。制作費用も求人媒体の年間出稿費より安く済むことがほとんどです。

効果が出るまでどのくらいかかりますか?

求人票の改善やスピード改善は、翌月から数字に出ます。SNSや採用サイトなど、認知を積み上げる施策は3か月から半年が目安です。短期の施策と中長期の施策を同時に走らせ、短期で当座の人員を確保しながら中長期の資産をつくるのが現実的です。

製造業の採用戦略についてはアップデートにご相談ください

製造業の採用は、「業界全体が厳しいから仕方ない」で片づけられがちです。しかし数字を分解すると、職種によって難易度は4.8倍違い、年齢構成では全産業と変わらず、倍率が上がった理由は求人増ではなく応募者の減少でした。手を打つ余地は残っています。

株式会社アップデートは、建設・運送・製造といったフィールドワーカーの採用を専門に支援しています。求人票の見直しから、SNSを使った認知づくり、採用サイトの制作、応募後の運用改善まで一貫して対応しています。

「どの職種から手をつけるべきか分からない」「SNSを始めたいが社内に人がいない」といった段階のご相談も歓迎です。まずは現状をお聞かせください。

※本記事の統計は、厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年5月分)」参考統計表7-1・7-2(常用/パート含む)、および2026年版ものづくり白書(経済産業省・厚生労働省・文部科学省/令和8年5月)に基づきます。ものづくり白書内の調査は労働政策研究・研修機構(JILPT)「ものづくり産業における人材確保・定着と技能継承に関する調査」(2026年5月)によるものです。

堂下 直輝

この記事の監修者|堂下 直輝

1994年、兵庫県生まれ。大学卒業後、株式会社マイナビに入社し、支社立ち上げから課長職までを経験。累計500社以上の採用支援に携わる。

2020年、株式会社アップデートを設立し、代表取締役に就任。「仕組みを変え、世界中の課題を解決し続ける」をミッションに掲げ、建設業・運送業・製造業を中心に採用支援事業を展開。
ショート動画やSNSを活用した採用支援を強みに、200を超えるアカウントの運用を支援。採用支援に関する講演活動も積極的に行い、実務と発信の両面から企業の採用課題解決に取り組んでいる。

現在はメガバンクなど金融機関とも提携し、大阪・東京・福岡を拠点に、全国の企業を支援している。

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